婚姻の際、今の日本の法律では夫婦は例外なく同姓とするよう求められており、別姓のまま婚姻することはできません(夫婦同姓強制)。これに対し、同姓を希望する夫婦は同姓で婚姻でき、それぞれの姓を名乗り続けたい夫婦は別姓で婚姻できる制度が選択的夫婦別姓制度です。

2024年3月8日、選択的夫婦別姓を認めない民法や戸籍法の規定は憲法違反だとして、国に対し損害賠償などを求める訴訟(第3次選択的夫婦別姓訴訟)が東京と札幌の地方裁判所で提訴されました。同年6月27日に東京地裁で行われた第1回口頭弁論期日では、原告らは意見陳述で裁判官に「不安や苦しみ、自己喪失感に真正面から向き合って下さい」と訴えました。

1996年に、法務大臣の諮問機関である法制審議会が選択的夫婦別姓制度を導入する「民法の一部を改正する法律案要綱」を答申しましたが、現在も導入は実現していません。法律で夫婦同姓しか認めないと定めている国は日本以外にはないと言われています。

近年、国内では、各種世論調査において選択的夫婦別姓の導入に賛成する割合は、反対の割合を上回っており、多くの地方議会においても、国に対して選択的夫婦別姓の導入を求める意見書が採択されています。

経団連(日本経済団体連合会)は、2024年6月10日、選択的夫婦別姓制度の早期実現を求める政府への提言を公表し、日弁連(日本弁護士連合会)は、同月14日に実施された定期総会で選択的夫婦別姓制度の導入を求める決議を採択するなど、別姓をめぐる動きが加速しています。 誰もが改姓するかどうかを自ら決定して婚姻できるよう、選択的夫婦別姓制度の導入を求める決議 (nichibenren.or.jp)

第3次選択的夫婦別姓訴訟の弁護団には、当事務所に所属する弁護士3名が参加しています。別姓訴訟を支える会 – 名字を変えずに結婚したい夫婦の裁判(第3次選択的夫婦別姓訴訟) (bessei.net)

今後の裁判、国会の動向にご注目いただけますと幸いです。