キワニスドールを知っていますか。白い布に綿を詰めた一見シンプルな人形です。病院で手術や入院をする子ども達の恐怖心や不安を和らげるために活用されています。このキワニスドールを制作し病院に寄贈する等のボランティア活動を行っている団体、東京キワニスクラブで会長などを務められた吉田浩二さんにお話しをお伺いしました。

Qキワニスクラブとは。
・「世界の子ども達のために」を合言葉に、ボランティア・社会奉仕活動を行う団体です。アメリカのミシガン州デトロイトで1915年に誕生し、1964年に日本でも設立されました。東京から始まり、今は国内に41のキワニスクラブが存在し、約2000名が活動しています。
キワニスとは、ネイティブアメリカンの言葉で、「皆一緒に集まろう」という意味です。

Q日本のキワニスクラブの活動は。
・メインの活動は2つあり、1つは例会・会員間の親睦会などを行うこと、もう1つは奉仕活動です。奉仕活動としては、子ども食堂や、東京では子ども達の勉強の場や居場所作りとして寺子屋なども開催していますが、その柱の一つは後で話すキワニスドール作成です。

Q吉田さんが活動にかかわったきっかけは。
・参加当時の勤務先の顧問の方に勧誘されたことがきっかけです。私は海外生活が長く、アメリカで16年間過ごし、ボランティアの大切さに触れていたこともあり、興味をもって東京クラブに入りました。キワニスクラブはインディアナポリスに本部がありますが、自分は英語が話せることもあって、推されて東京クラブの会長やその上部団体である国際キワニス日本地区のガバナーを務めました。

Qやりがいは。
・ボランティア活動は自分で決めて自分でやる自主的なもので、収入が得らえるわけでもない、利他的なものです。他人のために行動するということは、自分のためにやる以上に満足感が高いと思います。

Q今後の希望・夢。
・若い人達にもボランティア活動に参加してほしいです。このためSLP(サービスリーダーシッププログラム)のもと若い人たちのクラブを作り、若い人のリーダー作りに力を入れています。また、少なくとも1都道府県に1つはキワニスクラブを作り、全国にキワニス活動を広めたいと思います。

Qキワニスドールとは。
・白い木綿の生地に綿を詰めた人形です。身長約40cm、体重約50g、目も鼻も口も描かれていません。医師が人形に内臓の絵を描いたり、注射をして見せたりして、子どもに手術や治療の方法を説明する、また、子ども自身が好きな人やキャラクターを描くなどして、病院に入院する子ども達の恐怖心や不安を和らげるために活用されています。
https://tokyo-kiwanis.or.jp/doll

Qキワニスドールをプレゼントしたときの反応は。
・キワニスドールを導入した病院の方から、夜子ども達が抱きしめて安心して寝ているなど実際に使っている様子を聞くと、やりがいを感じます。

Qキワニスドールは足りているか。
・東京キワニスクラブでは、通常の年で年間1000体から多い時で2000体を納めています。小児医療の現場でキワニスドールを使った説明や準備、対応が普及すれば、もっと必要になりますので、潜在需要は大きいと考えられます。コロナ後でキワニスドールの注文は増えていますが、コロナで作る人が減り、足りていない状況です。

Qキワニスドールを作成するには。
東京キワニスクラブ宛に連絡してください。
【連絡先】
〒101-0047 東京都千代田区内神田2-3-2米山ビル7階
Tel : 03-5256-4567
e-mail:tokyokiwanis@japankiwanis.or.jp
URL:https://tokyo-kiwanis.or.jp/

【感想】
事務所の弁護士が、吉田さんの指導の下、キワニスドールを作りました。全国のキワニスクラブ全体で、この20年で約8万体のキワニスドールを作ったそうで、協力してくれる企業や学校も増えて、参加してくれるボランティアの作成指導をされることも多いそうです。最初はおしゃべりしながら賑やかに作り始めましたが、途中、吉田さんから上手く作るためのコツを聞き指導を受けるうちに、段々みんな口数が少なくなり、ドール作りに集中。最後に、仕上がりを吉田さんに確認してもらい、完成品として認めてもらったときには、みんなやり遂げた喜びの表情になりました。キワニスドールを1体作ると、可愛いピンバッチをもらうことができます。

吉田さんの「ボランティア活動は利他的、自分のためにやる以上に満足感が高い」という言葉は印象的でした。
キワニスドールがこれからも病気の子ども達の支えになることを願っています。
吉田さん、これからも頑張ってください。